よく耳にするジェネリック医薬品ですが、どのようなものでしょうか。
新たな成分が発見され、医薬品として製品になるには、動物実験やヒトに対する様々な段階における治験など、多くの厳しい試験を終えて医薬品として認可されることが必要です。開発には数百億円の費用と15年以上の年月がかかります。そのため、新薬は発売と同時に特許を取り、発売後20~25年間は独占的に製造販売ができます。 その特許期間満了後に新薬と同じ成分・同じ効き目で発売される医薬品がジェネリック医薬品です。
「generic」とは、「普及した」とか「一般的な」を意味する言葉です。薬の名前には「一般名」と「商品名」があります。一般名はgeneric nameといい薬の有効成分に付けられる名前です。商品名は作っている製薬会社、薬の含有量、製剤によってもことなります。後発品は欧米では一般名で処方されることが多いため、欧米では「generic drug」、「generic medicine」と呼ばれています。わが国では「後発医薬品」という呼び名も使われていますが、近頃では言葉の意味を正確に表す「ジェネリック医薬品」という呼び名が定着しつつあります。
先発品と同じ成分で、同じ作用のお薬がジェネリック医薬品ですが、「同じ」とはどのように調べるのでしょうか。薬は、内服薬の場合は服用してから胃で溶けて小腸などから吸収され、体内に分布して薬の効果を示し、腎臓や肝臓によって代謝されて排泄されます。吸収されたお薬が血液によって体内に分布するさいに、血液中のお薬の濃度が最も高くなったところをCmax(最高血中濃度)といい、Cmaxに達するまでの時間をtmax(最高血中濃度到達時間)といいます。ジェネリック医薬品は、吸収されてから排泄されるまでの血液中の薬剤の濃度が先発品と同じような変化を示さなければならず、これを生物学的同等性と言います。先発品と「同じ」とは生物学的同等性のことをさすのです。
生物学的同等性試験は、血液中の動態速度を測定し、治療効果を比較する試験のほかに、薬が吸収される際に重要な薬の溶けやすさを測定する溶出試験などがあります。生物学的な同等性が認められれば、同じ成分の薬ですから、その効果や副作用についても先発品と同じになるはずです。
ジェネリック医薬品は、先発品と「同じ」という条件をクリアすることによって、製造販売が承認されます。新薬に比べて大幅な開発コスト削減と開発期間の短縮によって、低価格での提供が可能となるのです。
しかし、全く同じものは作れませんから、この生物学的同等性の試験にも「同じ」と判断されるための幅が持たされています。ジェネリック医薬品のほうが、先発品よりも早く溶けて、早く効くという場合もあります。また、ジェネリック医薬品に変更することによって、添加剤などの違いにより副作用が出る場合もあります。どのジェネリック医薬品を使用することが望ましいかは、医師や薬剤師に相談してください。患者様それぞれにとって、「先発品と同じ」ジェネリック医薬品を選ぶことが大切です。