脳腸相関

「脳腸相関」と「腸内細菌」の関りについて

不安や緊張でおなかが痛くなる・・下痢になる・・食欲がなくなる・・といった経験をしたことのある方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
これは脳で感じた刺激が自律神経を介して腸にストレスの情報を伝えることでおこっています。
また逆に腹痛が起こることで憂鬱になることや、消化管から放出されるホルモンが食欲を制御していることなどから腸の状態が脳に影響を及ぼしていることもよく知られています。
このように脳と腸が互いに影響しあう現象は「脳腸相関」と呼ばれています。

この「脳腸相関」に腸内細菌が密接にかかわっているという研究結果が近年、多く報告されています。

脳腸相関

エンジェル薬局では、今年話題になった「ヤクルト1000」を販売していることもあり、「どうして乳酸菌飲料を飲むと、ストレス緩和や睡眠の質が向上するの?」との質問を受けることもあります。話題になりすぎて、高額な値段での不当な売買や、根も葉もないお話もネットに上がっているようです。

そこで、今回は上記の研究結果をいくつか紹介させていただきたいと思います。

まずは、九州大学において「腸内細菌とストレスの関係」について研究を行ったところ、 腸内細菌を持たない無菌マウスは腸内細菌を持つ通常マウスと比較してストレスに対する反応が高くなること、無菌マウスにある種のビフィズス菌を定着させるとストレス反応が通常マウスと同レベルになったことの報告があります。
次に徳島大学において、進級試験目前に控えてストレスを感じている医学部生に協力してもらった研究です。彼らを、乳酸菌飲料を飲むグループと、味や外見は同じで乳酸菌を含まない疑似飲料を飲むグループ(プラセボ群)に分け、試験の8週間前から毎日飲んでもらいました。
自分のストレス度を表記する調査で、乳酸菌飲用群はプラセボ群と比べ、学術試験が近づくにつれて増加するストレスの体感が軽減されたようです。
また、さらにストレス下で増加することが報告されている唾液中のコルチゾールの値においても、今回と同じ手法での臨床試験を3年度にわたり実施しており、対象者140人の試験のデータを解析した結果、乳酸菌飲用群はプラセボ群と比べ、学術試験が近づくにつれて増加するはずの唾液中のコルチゾール濃度の上昇が抑制されていることが分かっています。

睡眠障害についても調べたところ、ストレス調査と同様の手法で2014年と15年に医学部生94人を2群に分け、学術試験の8週間前から試験終了後3週間まで毎日飲んでもらい、睡眠中の脳波を測定し、最も深く眠れているノンレムステージ3の熟眠時間を解析すると、プラセボ群は試験が近づくにつれ熟眠時間が悪化するが、乳酸菌飲用群では良好な状態が保たれていたと報告されています。

乳酸菌飲料はあくまでも「機能性食品」であり、お薬ではありません。疾病の治療や予防ができるものではありません。ですが、それなりの研究を行った上での機能性表示となっております。雑多な情報に惑わされることなく、正しく判断していきたいものです。

エンジェル薬局で販売しているいろいろな機能性食品等を今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。